私たちは普段から生きるために欠かせない栄養素を食品から摂り入れています。炭水化物、脂質、たんぱく質、無機質、ビタミンからなる5大栄養素のどれか一つが欠けると私たちは健康を保つことが難しくなります。
エネルギーのもとになる食べ物に多く含まれる栄養素は、主に炭水化物、脂質、たんぱく質です。炭水化物は糖質と食物繊維に分類されますが、エネルギーになるのは主に糖質です。糖質は、1グラムあたり4キロカロリーのエネルギーをつくり出し、脳をはじめさまざまな組織のエネルギー源となります。脂質は炭水化物の2倍以上のエネルギーをつくり出すことができます。摂りすぎを心配する方も多いですが、効率的なエネルギー供給源として、重要な役割を担っています。たんぱく質は、糖質や脂質が十分でないときにエネルギーのもとになります。炭水化物、脂質、たんぱく質は、エネルギー産生栄養素とも呼ばれています
からだの調子を整える食べ物に多く含まれる栄養素はビタミン、ミネラルです。
ビタミンは、からだの中で起こる数々の代謝反応に必要な酵素としての働きを補ったり、脂肪組織や肝臓に蓄えられてからだの機能を正常に保ったりしています。
ミネラルは、臓器やからだの組織で起こるさまざまな反応をスムーズに進め、生理機能を健全に維持します。
脂質はエネルギー源となるだけでなく、エネルギーを蓄える物質としての役割も担っています。また、私たちのからだに数十兆個もあるといわれる細胞の膜をつくる主な成分でもあります。脂質には、中性脂肪、リン脂質、リポたんぱく質、脂肪酸、コレステロールなどさまざまな種類があります。n-3系脂肪酸、DHAやEPAといった名前がメディアなどでもよく取り上げられますが、これらは脂質の一種の脂肪酸の仲間です。体内ではつくることのできない必須脂肪酸のn-6系脂肪酸は大豆油やごま油などに、n-3系脂肪酸は植物油や魚介類に多く含まれます。
脂質が食べ物を通してからだに入ると、主に小腸で消化されます。種類ごとに異なるプロセスを経て、エネルギー源になったりホルモンのような物質の原料になったりします。
ビタミンはからだの機能を正常に保つために欠かせません。水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンに分類され、水溶性ビタミンはビタミンB群(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)とビタミンCを指し、脂溶性ビタミンはビタミンA、D、E、Kを指します。
人のからだは自らビタミンをつくることができないので、食品から摂る必要があります。通常の食事をしていればビタミン欠乏症を心配することはありませんが、偏った食事や無理なダイエット、加齢に伴う食生活の変化などでビタミンが不足していると、病気までいかなくてもなんとなく体調が良くない“潜在性ビタミン欠乏症”になることもあるようです。ビタミンを多く含む主な食品は、野菜や果物、きのこ類です。